近所の稲葉神社にお参りに行くと、たまに会える子がいました。みんなから「トムちゃん」と呼ばれていた、白とキジトラの猫さん。
参道のはじっこや、社のすぐ脇にちょこんと座っていて、こちらをじっと見つめてくる。撫でさせてくれるわけでもなく、逃げるわけでもなく、ほどよい距離で 「お参りお疲れさま」 とでも言うように、見送ってくれる。お参りに来た人と「あ、今日もトムちゃんいるね」と目で挨拶を交わすのも、なんとなくのお約束でした。
鼻先のチャームポイント
トムちゃんの好きなところは、鼻のあたりにある 小さなブチ模様。鼻の上にひとつ、口の横にぽつぽつと。それがなんとも愛嬌があって、写真を撮らせてもらうたびに、ああ今日も会えたな、と一日が少しだけうれしくなる。
足はぜんぶ白い靴下を履いたみたいで、座るとお胸の白さがふわっと膨らんで見える。手のひら、ぐっと閉じてるところもかわいい。
最近、会えてなくて
ところが、ここしばらくお参りに行っても、トムちゃんに会えない日が続いています。いつもの石のところにも、社のあたりにも、いない。
季節のせいで居場所を変えただけならいいんだけど、外で暮らしている子だから、いろいろ心配もしてしまって。すれ違うご近所さんに「最近トムちゃん見ないですね」と声をかけられて、みんな同じこと考えていたんだなあ、としんみり。
「どこかで、ちゃんとごはんを食べていますように」
「雨の日は雨宿りできていますように」
「あの白い靴下が、よごれていませんように」
そんなことを、お賽銭のあとに トムちゃんのこともそっとお願い したりしています。
また会えたら
また、ふと参道の角からひょっこり出てきてくれたら、「お久しぶりです」 とちゃんとご挨拶しよう。撫でさせてくれなくてもいいので、ちょっと座って、しばらく一緒に風に吹かれて。
お写真は、最後に会えた日のもの。元気でいてね、トムちゃん。

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